和尚のブログ

2015-9-10

「くもりゆく人の心のすえの世を、むかしのままにてらすつき月かげ。」(円空上人)

円空(えんくう)上人は、江戸時代前期の国々を回っていく廻国僧である、仏師や歌人であったお坊さんで、特に、全国に「円空仏」と呼ばれる独特の作風を持った木彫りの仏像を残したことで知られています。円空は生涯に約12万体の仏像を彫ったと推定され、現在までに約5300体以上の像が発見されています。多作ですが、作品のひとつひとつがそれぞれの個性をもっています。また、多くの和歌や大般若経の扉絵なども残されています。そんな方が残した言葉が今月の言葉です。

私ぐらいの年齢の人は、昭和はよかったとなにかにつけ口にします。映画「Always三丁目の夕日」を見て、「あの頃は良かった、日本人の心がまだあった。」「今は世も末だ。」なんて、私ぐらいからの年長者は言っています。すえの世とは末法を意味して、お釈迦様の教えが人々の心から離れて、すさんだ世の中になることを言います。平安時代が終わることも戦国時代も江戸時代が終わる頃もそう言っていました。でも、世は終わりませんでした。

とはいえ、人の心が曇り始めて穏やかな心を見失い、争いごとが絶えず、人々は、目先のものにとらわれ、不安がる。まさに今がそのようです。でも、昔と変わらず月がさし、月に映し出すかげを私も貴方ももっています。何も変わらずに。

昔も今も変わっていません。人の心も変わっていません。変わったのは、目に入ってくる景色や身の回りの道具だけです。これから何十年も何百年も何千年もかわりません。どうぞ安心してください。くもった心をお持ちの貴方。つきは佛さんです。その光を貴方も昔と変わらず受けていますから。安心してください。「くもりゆく人の心のすえの世を、むかしのままにてらすつき月かげ」

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