数年前の事でした。
もみじ祭りが終わり、そろそろ北風が吹き出した頃、玄関をガラガラと開けて「こんにちわ、お尋ねしますが、このお寺には奥の院はどこにありますか?ちょうど、この玄関横にあるもみじと同じように真っ赤に染まったもみじがあったのですが⁉」
始めはなんの事なのか分かりませんでした。が、話を聞いているうちに理解してきました。そこで、お尋ねしました。
「今、車をどこにおかれましたか?」
すると、
「そこの駐車場ですよ。」「石段を20段位登って来ました。」
わたしは「それは無理ですね。そのかえでは見ることが出来ませんね。」
「どうしてですか⁉」
「聖宝寺には奥の院はありません。あなたが見たのは、下から石段を苦労して上って来られて見たかえでで、それは、今、この玄関横のこのかえでです。」
「えー、これですか⁉でも、もっと綺麗でしたよ。」
「同じかえででも、そこに至る過程で見えるものの美しさは全然違います。」「あの素晴らしいかえでは、もう見ることは出来ないですよね。ここまで車で来られては❗」
この方は、唖然として、玄関横のかえでを見つめておられました。
もみじ祭りの時には、ご不便をおかけしておりました。長い石段を上がって頂きました。でも、苦労されて来られた方だけが味わえる素晴らしい感動がそこにはあることをお伝えします。
四季折々に変わるお庭の景色と、変わらぬ観音様の妙珍力を体に感じに来てください。
楽和尚と添えの私がお待ちしております🍀