和尚のブログ

2017-6-3

かれの物語

かれとは、愛車ムーヴの事です。
かれと出会ったのは、平成22年の2月、先代のデリカがあまりに維持費が高く負担になってきたので、維持費が安い軽自動車に変えたいと出入りの整備会社さんに頼んで探してもらっていたところ、直ぐに現れたのがかれでした。
始め小さな軽自動車に幾分かの抵抗を感じながら、今の経済状態では仕方ないと諦めて付き合いました。
しかし、時と共にお互い馴染んできました。
私の過酷な運転にも耐え、ひたすら、私の言うことを黙ってきいてくれました。
時には、音を上げることもあり、ミッションやラジエーター、バッテリーはもちろんですが、替えていきました。
ミッションを換えなくなったときは、夜、阿下喜を走っていたとき、エンジンは動いているのですが、突然動かなくなり、真っ青になったことを覚えています。
昨年からエンジンにも年を感じ始め、エンジンオイルを丁寧に換えていました。でないと、直ぐに変な音がしだします。

それでも、高速道路では、アウディーやベンツともタメをはって走ってくれました。

東へは静岡、北は長野、西は岡山、南は和歌山勝浦まで。
京都や賢島へは頻繁に連れていってくれましたし、兵庫の実家にも。

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今年に入り、フロントガラスに石が当り、ヒビが入ったので次の車を考えました。
でも、縁がなく、フロントガラスを換えて乗り続ける事にしました。

五月の連休、知多市の方に忌明け法要に行った帰り変な音がし出したので、連休明けの5月8日に整備会社に持って行こうと思っていました。
5月8日はお釈迦様の誕生会、花祭りの行事をする日でした。
ゴミを持って、公会堂まで降りていきました。さあ、かれに帰ろうかとつぶやきながら、エンジンをすかすと噴きません。え、どうしたの。その時、整備会社の方の言葉が脳裏をよぎりました。「もし、アクセルをふかしてもエンジンの回転数が上がらなかったら、もう、エンジンはダメになったことです。」
「なんでいまなの、せめて、てらまでかえろうや。」
トロトロと走りはしました。でも、坂道で、何度かダメかと思ったのですが、何とか寺まで戻ってきました。
駐車場に着いた瞬間、止まってしまいました。二度とエンジンがかかる事はありませんでした。まさしく、おシャカになりました。

私をこの七年間、ささえてくれた、かれが命絶えた瞬間でした。それも、花祭りの朝に。

私のわがままを聞いてくれて。
ときには、辛くてあたった事もあったけど。
気分転換に付き合ってくれましたね。

家族四人の最後の一時を送ってくれました。

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